日本政治.comでは、2013年の参院選に際して18万人が利用した「投票マッチング」を基に、今回の参院選における「ネット票」の行方を分析しました。
従来の世論調査では明らかにされていなかった、主要政策以外への賛否や、地域差、年代差などが判明し、有権者の新たな一面が見えてきたので、その一端をここに公開します。
参院選の争点は、経済、憲法、原発、TPPなどと報道されており、どのテレビ局の党首討論会でも同じようなテーマで設計されていました。
確かに、それらは重要な争点でしたが、今回の調査によれば、例えば、年金制度も原発と同じくらい有権者の関心が高かったことがわかります。消費税の増税時期や少子化対策なども、TPPに匹敵する関心の高さでした。
従来の世論調査の手法は固定電話を利用しているため、特に20−30代を中心とした都市層(ネットリテラシーが高い層)は、調査の対象から外れてしまうケースが多いです。政党も世論調査を見て政策を決めるため、若年層の投票率が低い理由の1つとして、世論調査の手法については提起すべき課題があります。
日本政治.comでは、参院選における各政党の公約を基に、現在の国政において重要な20の政策を「投票マッチング」の設問として採用しました。20−30代を中心とした都市層は、各政策についてどのような考え方を持っているのでしょうか。
アベノミクスへの支持が高い一方で、憲法96条改正、原発などは意見がわかれました。また、TPPについては、都市部にもかかわらず慎重なスタンスが目立っています。一方で、上記の争点以外に、大多数の賛成が得られた政策がいくつかあります。
今回の参院選でネット選挙の解禁が注目されていましたが、こうした20−30代の有権者の声に対して、政党や候補者がどれだけ向き合うことができたでしょうか。FacebookやTwitterといった「ツール」に目を向けるばかりで、そのツールの先にいる若い世代を対象にした「政策=コンテンツ」をブラッシュアップしていく努力は、まだまだ足りなかったように見受けられます。
地域ごとに分析した結果、都市部と地方部で明確に賛否が分かれたのが原発でした。「2030年代までに原発を全廃すべきである」という設問に対して、都市部では反対(つまり原発維持)、地方では賛成(原発反対)が目立ちました。
また、選挙権を持たない10代(サンプル数6003)の支持政党は、自民党が73%と非常に高い割合になっていました。2012年の衆院選の際のデータと合わせて、若い世代ほど自民党の支持割合が高くなっている傾向があります。
さらに、重視する政策には男女差が見られました。特に、被災者支援、医療制度、少子化対策、地球温暖化の4項目について、重視している女性の割合は、男性の割合に比べて実に2倍以上となりました。
また、支持政党によって、賛否が大きく分かれた政策もいくつかあります。例えば、防衛費の増額に関する設問については、下記のような結果でした。
今回は、掲載の関係上、すべてをご紹介することが出来ませんでした。元データは、20−30代の都市部が中心でしたが、地域、年代、性別を平均化することで、有権者の実情をより正確に知ることができます。もし、データの全容に興味がある方は、info@nihonseiji.comまでお問い合わせ下さい。
日本政治.comは、従来の政治報道のあり方にとらわれないユニークなコンテンツを提案し、有権者と政治家のコミュニケーションを変えることで、日本の政治に貢献していきたいと考えています。