慶應大学3年生のとき、統一選挙のアルバイトを知人から頼まれました。民社党の目黒区区会議員選挙の手伝いです。これをきっかけに、民社党大御所議員の春日一幸さん(故)とのつながりができました。
卒業後は民間企業(オムロン)に入社しましたが、翌年の衆院選時に春日さんから手伝いを頼まれ、退社して秘書を始めました。春日さんの秘書に続いて地元の議員の秘書も務め、計8年間秘書を続けました。
ですから、学生時代から政治家を目指していたというわけではありません。(選挙の手伝いといっても運転やビラ配りなど、特に政治を垣間見るというものでもなかった。)
32歳のときに新進党から県会議員選に出馬して当選し、以後連続で12年間、神奈川県議会議員を務めました。3期目を終えた2007年7月に民主党から参院選に出馬して当選し、現在の参議院議員1期目に至ります。
税理士出身であることもあり、財政金融委員会に在籍して税制改正に関わってきました。消費税 増税にも反対してきました。(※現在は維新の会所属のため国土交通委員会委員)
その中で取り組んだことの一つが、租税特別措置法によって生まれていた既得権益の打破です。
日本のいびつな税制の中でも最もいびつと言われるのが法人税の「租税特別措置法」。法人税については、業界団体の意向を反映して、特定のものに対する免税や軽減税率の設置が行われてきました。これらは本来、2~5年程度の時限立法です。たとえば外国から急に安い牛肉が入ってくるときに、緩和措置として数年間は国内の牛肉を保護します、といった趣旨のものです。ところがこれらの「特別措置」が自民党政権下で既得権益化してしまい、くりかえし更新されていたのです。
これに対し民主党政権は、野党時代から提案していた透明化法案の国会通過を成功させました。(既得権益は)すぐに崩せるものではありませんが、徐々に動き出しています。実際、各業界団体が特別措置法でどれほど恩恵を受けているのか、という数字を今通常国会から出せるようになります。
安倍政権になって懸念しているのが、プライマリーバランス(編注:基礎的財政収支。各年の経費のうち、どれだけを借金ではなく税収など本来の収入で賄えているかを示す指標)の問題です。現在は国債を発行して借金を膨らましている状態です。今年も20兆近い赤字になります。
さて、これが危機でないと言う人もいる一方、ギリシャ以上の危機だ、と言う人もいます。いずれにしろ、制度としてやはりプライマリーバランスは黒字状態が健全だといえるでしょう。
どこまで借金を積んで大丈夫なのか、ということは誰にも分かりません。ただ、一千兆円という天文学的数字を「返す」ためには、貨幣価値を下げるデノミネーションしかないのではないでしょうか。このままで返せる額ではありません。結局債券を持っている人が損することになってしまいますが、一気に「返す」となったらそれくらいしか手段がないのです。
これに関連して、日本維新の会が推進する道州制の議論があります。権利と財源を与えると我々の生活がどう変わるのでしょうか。道州制については、「地域に密着したサービス」などの美辞麗句が並びますが、結局は借金体質をどう変えるか、ということが問題だと思います。国の財政はスリム化するが地方は勝手にどうぞ、というだけでは地方の借金が増えるだけで、問題の解決にはなりません。民間やNPOへの委託により地方公務員人件費を削減するなど、地方のスリム化も進める必要があります。
債券の発行にきちんと規制を設けることも必要です。現在、地方債は建設債という形でしか発行できないことになっています。これは借金ではないという扱いです。他方、国は借金を国債でまかなえるため、借金が膨らんでいます。借金体質を地方に植え付けないためには、建設債のみを持続させるにしろ、道州債の発行を認めるにしろ、縛りをしっかりと設ける必要があると考えます。
また、地域の経済活動については、中小零細企業・シャッター街などを含め、良きものを守りつつどう活性化させるか、という問題があります。この解決法は地域によって異なり、経産省では対応しきれません。結局はどこから優先してお金を投下していくかということが問題になるのですが、国は万遍なく金額を配分しようとするのです。地方に移譲すれば細かいところにも目が届き、どこにどれだけの資本投下をすれば効率がよいかということが分かります。細かいレベルで失敗した場合は、素直に認め謝ればいいのです。その覚悟で費用対効果を上げていくべきだと考えています。さらに、地方が国の言うことを聞かざるを得ないような体質変えることで、予算の無駄遣いや無駄な行政コストの削減も図れます。
民主党前政権の問題点は、党内のマネジメント、意思決定の手続きが曖昧だったことでしょう。たとえばTPPの問題。政党としての意思の方向性が党内で曖昧になり、右往左往してしまいました。
それに対して、日本維新の会は多数決で決めるということがはっきりしています。石原・橋本両氏に拒否権があるといえども、実際には説明責任もありますし、限界があるでしょう。憲法改正やTPPなど、賛成派と反対派が競り合うような問題についても、立場や方針を明確化していきます。
さらに、自民党・民主党に比べ、一部の業界団体・組合などに引きずられることなく発言・行動できることも特徴です。できるだけ多くの「国民市民のため」の政治ができると思っています。