2010年7月の参院選で初当選し、最初の1年間は自民党の国際局次長として仕事をしていました。当時は自民党が野党でしたので、野党としての外交支援活動を行っておりました。外交や国際関係には与野党関係なく超党派で取り組む必要があったからです。具体的には、中東各国大使との地域間協力を話し合う会などといった、ASEAN、ラテンアメリカなど「二国間ではなくグループとしての国際協力」をテーマとした谷垣総裁(当時)の外交活動のサポートをしておりました。
もともと、国際政治・経済学者という立場で各国の様々な方と交流を重ねていたので、こうして政策にも関わる機会ができてとても有意義でした。また、超党派で新人議員を集めて様々な課題について意見交換をするような会を設け、従来の発想にこだわらず積極的に政党という枠を超えた政策研究会を実施したものです。
自民党の調査局(他党議員のスキャンダルなどを調べる局)の次長も務めておりまして、マスコミと協力して様々な「噂」の裏を取るような作業にも関わっていました。当時は特に小沢議員のスキャンダルについて力を入れていたものです。もちろん、地元鳥取での会合やイベントにも出席し東京とのパイプを作るような活動も行っておりました。
議員になって1年も経たないうちに東日本大震災が発生しまして、復興対策本部をつくり超党派で復興に取り組もうという動きになりました。私のもとには世界各国から協力、特に放射能の除染関係の技術提案が複数きていました。そこで当時の菅政権と協力して対応しようと手を挙げたところ自民党執行部は「時期が早い。今やっても菅政権を延命させる結果になる」ということで、許可がおりませんでした。
大震災という非常時に対する協力を否定されても納得できるはずがなく、党派を超えて対策を考えるべきだと強く主張しましたが、残念ながら伝わりませんでしたので、結果的に自民党を離党し、無所属になりました。その後、復興の仕事をするために総務大臣政務官になり、復興のための特命チームの長を務めることとなりました。そして、何度も被災地を訪れニーズを調査し、海外からの技術提供とマッチングさせるということに取り組みました。
その後、菅政権から野田政権に代わり、総務大臣政務官から今度は外務大臣政務官となり、ヨーロッパと中東、この二つの地域を中心に国際関係を担当することになりました。その他、ハーグ条約などの国際法や放射能の拡散防止、そして文化交流など、実に多様な分野で日本外交の最前線で仕事をすることができました。
そうした仕事の中で、今まで縁があまりなかった中東アラブ世界の様子を見ることになりました。チュニジアでの初の国政選挙の国際監視団の日本代表や、シリア、リビアなどの内政混乱地域安定のための国際会議の日本代表、そしてタジキスタン、キルギスタンなどの中央アジアにも関わることができ、自分の世界も広がりました。
こうしたことを3年弱で経験してきて感じたことは、各国の日本に対する期待の高さです。各国の評価や期待を受け止めて、内向きがちと言われる今の日本をなんとか変えたい。党派を超えて、日本人が国際社会でしっかりと役割を果たせるようなバックアップ体制を作り上げていくことが今後の課題です。来るべき3年間は、そうした分野にエネルギーを投入したいと思っています。
まずは中東アラブ世界との関係を密にしていきたいと思います。原発がストップし、年間3~4兆円ほど石油や天然ガスの輸入量が増えている今、この供給がストップされてしまったら日本の経済は終わりです。再生可能エネルギーの開発ももちろん非常に重要なのですが、それにはまだまだ時間もコストもかかります。その為に安定的に石油や天然ガスを供給してもらうためにも、資源供給国との信頼関係を強固なものにしていきたいと思っています。
私は各国の大使館や国際機関が主催する
独立記念日などのイベントにはなるべく参加して最初から最後までいるように努めていますが、多くの大臣や議員は挨拶だけしてすぐに帰ってしまうことがほとんどです。自分たちの選挙のことに囚われ過ぎて、このような外に目を向ける国際交流に価値を見出している議員は非常に少ないといえます。しかし実はこういった地道な交流の積み重ねこそ本当に大事なものなのです。
「震災の時にはあれだけ物心両面にわたり支援をしたのに本当に大事に思ってくれているのだろうか?」という声が海外からよく聞こえてきます。今では安倍総理が中東を訪問する計画などが進んでいるようですが、とてもいい流れだと思います。しかし総理や大臣は非常に忙しい身ですのでなかなか各国の実態をしっかり見て回るわけにはいきません。そこをサポートするのが議員の役目ではないでしょうか。
長期的な協力関係を拡大していく必要があります。せっかく世界に誇れる技術を持っていて、「ク―ルジャパン」などといった魅力を持っていても、それを外へ売り込むパイプがなければ意味がありません。中国や韓国ではたくさんの学生などが世界各国へ飛び出して行っています。サウジアラビアからは500人の国費留学生が日本に来ています。一方日本からサウジアラビアへの留学生はたった3人しかいません。
こういった外への流れを国や政治がイニシアチブをとって積極的にバックアップをしていく必要があります。私は、そうしたことに関心のある議員を超党派で集めて研究会を開くなどして、新しい流れを作っていくような活動をしていきたいと思っています。
思いつく限りでは10人くらいではないでしょうか。外務省出身や現場経験のあるNGO出身の方はそうしたスキルを持っていますね。各党に散らばってはいるものの優秀な方は何人かいます。それを「党が違うから」という理由でなかなか有機的につなげることが出来ていないのが現状ではないでしょうか。
日本は変わらなければいけないし、変わるだろうと信じています。参議院は「良識の府」とも呼ばれ長期的な視点での仕事をやりやすい立場です。これからの時代は国際社会と共に歩んでいくのだということを受け止めた政治家の活動の場を広めていきたいと思います。