世界経済フォーラムが2011(平成23)年に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)は,135か国中98位と女性の社会進出が遅れているのが明らかである[1]。また、年齢階級別労働力率をみると、女性が出産・育児によって正社員を離職し非正規雇用者として後で戻るという構造になるいわゆる「M字カーブ」が見受けられる。
「夫は外で働き妻は家庭を守るべきである」という考え方について全体では賛成が41.3%と未だジェンダーステレオタイプは根強い。このような考え方が社会に内面化されていると女性の方が仕事を諦めるというケースや、雇用・昇進における差別(女性の方が雇われづらい、賃金が低い、雇われても一般職採用であり総合職として採用されづらい)が起こりやすくなると指摘されている。他にも、出産・育児の負担が待機自動の数や助成金の少なさを見ても日本は負担が大きく、「出産かキャリアか」という選択を女性が迫られていることが問題視されている
なお、留意すべきなのは男女共同参画は主に女性の権利向上にスポットライトがあたっているが、それだけでは不十分だということである。同時に、主に家庭における男性の権利の向上も目指している。「男は仕事、女性は家庭」というジェンダーステレオタイプによって育児休暇をとりたくてもとれない男性もいる以上、両方を推し進める必要があるのだ[2]。このような男女同権は少子高齢化をむかえる日本において活力のある社会を引き続き維持するためにも必要だとされている。
そもそも男女共同参画とは何だろうか。男女共同参画社会基本法第2条によると、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」である。具体的に主に議論される内容としては、職場においても男女が共に働きやすい環境で、家庭に置いても両者が家事を分担することである。例えば、子供がいる世帯における男性の家事にかける時間は1時間未満であり、アメリカ、ドイツ、スウェーデン等に比べるとわずか3分の1にしかすぎない[3]。他にも男女共同参画の範囲は多岐にわたり、夫婦別姓等の議論や、性犯罪やセクシュアルハラスメントの解消、メディアにおける男女平等や、近年では東北大震災における女性に対する支援等も議論の対象である。[4]
では、海外ではどのような取り組みがされているのだろうか。例えばオランダにおいては男女共にフレキシブルな雇用形態をとることによって、どちらもが主婦・主夫を行うことと企業で勤めることのオプションを選びやすくなった。また、「フィンランド・メソッド」で有名なフィンランドにおいては手当てが厚く法整備が進んでいるため育児休暇をとりやすく、また育児支援も充実しているため女性が「仕事か子育てか」というトレードオフに直面しなくて済むようになったとされている。他にも、一部の国では議会における女性枠(アファーマティブ・アクション)等を設置することで女性に社会進出の機会を提供したり、ロールモデルをつくろうとしている。女性が社会で働くことが当たり前になることによって、企業としても仕事を任せることにつながったり、女性も社会復帰しやすくなったとされている。[5]
また、重要なのは男性が家庭に入っても良いというイメージや制度づくりも必要だということだ。あくまで男女共同参画は両者の憲法13条で保障された幸福追求権の充足を目指すためにあるため、一方だけでは意味がない[6]。フィンランドで導入されているような夫婦共に育児休暇をとるようなシステムなどが必要だという専門家の指摘もある。
自民党の安部総理はすべての上場企業に女性役員を雇用するように求めた[7]。また、マニフェストで指導的地位にいる女性を2020年までに30%にすると明記している。みんなの党は公務員の女性雇用拡大や育児休暇の拡充などを目指している。共産党は育児休暇をとりやすくするなど雇用面での女性の権利拡充を謳っている。
民主党は保育所拡充などにより育児を行いやすい環境を整えることを目指している。公明党は震災に女性にも配慮することに加え、幼児教育の無償化などによって子育てをしやすい環境整備を目指している。
社民党は女性の社会進出野促進を目指している。新党改革は男性・女性のワークライフバランスの改善を目指している。
日本維新の会は特に意見を表明していない。