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地球温暖化

1.ポイント解説

① 地球温暖化は食糧危機や熱帯性感染症も引き起こす

地球温暖化とは文字通り地球の温度の上昇のことを指し、海面水位の上昇による水没や、砂漠化の進行、食糧危機や熱帯性感染症の増加等様々な面でダメージを引き起こすと言われている。既に北極の氷が溶け始め推移が上昇し、砂漠化の速度が加速化し、ハリケーンなどの異常気象をが既におきていることを見ると、地球温暖化は今まさに起こっている問題である。日本でもコメをはじめとした農作物の被害などが実際に出てくるなど温暖化の影響は私たちにも深く影響している[1]

 

② 日本も温室効果ガス排出量25%の削減目標

こういった背景を受け、日本は2009年のCOP15会議で1990年と比較して2020年までに25%温室効果ガス排出量を削減することを表明した。しかし、東日本大震災後原子力発電所の依存度を下げたことも相まって目標達成が難しくなっていることも指摘されている。

 

③ 排出権取引やエコカー、サマータイム導入などの様々なアプローチ

地球温暖化対策のアプローチにはどのようなものがあるのだろうか。まず、温暖化の排出を減らすメカニズムとしては排出権取引制度や環境税の導入等が考えられる。排出権取引制度の試行運用が2008年に開始された。この制度はまず各企業に一定期間内に排出できる温暖化ガスの排出量を割り振ることで全体としての削減量を減らすものだ。この際、排出権は他企業に売ることができるため各企業は排出量を減らすインセンティブができ、効率的に温暖化ガスの排出量を減らすことが期待されている。これと平行して、いわゆる「クリーンエネルギー」と呼ばれる環境にやさしい発電方法(太陽光発電等)への転換の必要性も謳われている。次に、「エコ減税」「エコカーキャンペーン」のような消費者に対する金銭的誘引も可能だ。また、森林の整備保全は二酸化炭素の吸収にも役立つため注目を集めている。他にも過去には小泉政権時等に海外諸国を見習い、「サマータイム」(夏の間、太陽の光が出ているときに活動することでエネルギー消費を抑える目的で、現行の時刻に1時間加えること)の導入も議論されている。

 

2.詳しく知りたい人に

そもそもなぜ地球温暖化は起こっているのだろうか。地球温暖化の主な原因は二酸化炭素、メタン等の「温室効果ガス」の増加である。温室効果ガスは地球の表面を覆い、熱の蓄積を引き起こす。工業化に伴う工場や火力発電所や車等の排気ガスの排出によって地球温暖化が近年大幅に進んだと言われている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の発表によると、人為的な二酸化炭素が温暖化に寄与している原因である確率は90%を超えるとされている。さらには、森林伐採・焼畑による二酸化炭素を吸収する森林の減少も温暖化の進行を早めていると言われている。[2]

なお、地球温暖化は起こっていないのではないかという議論もある。地球のサイクルの一部である等の根拠が提示されているのだ。しかし、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年に「地球温暖化には疑う余地が無い」と発表している[3]など信憑性は怪しく、さらには国際社会の一連の流れとして「予防原則」が重視される流れがある。同原則は、環境に不可逆的で甚大な被害をもたらす可能性がある場合は科学的に因果関係が証明されない場合でも規制措置を可能にする考えのことである。

 また、各国がどれ程対策を行うべきかという責任論に関しては、主に先進国と途上国間で争いがある。すなわち、経済的に発展できていない途上国は自国の経済活動を優先しても良いのではないかという主張がある一方で、先進国も途上国も平等にこの問題に取り組まなくては地球規模の問題解決ができないという反論があるのだ。この争点に関して、国際社会においては「共通だが差異のある責任」が認められる傾向がある。すなわち、先進国も途上国も地球温暖化を解決する責任があるという点では共通しているが、その責任の取り方は先進国のほうが重くあるべきだというものだ。[4]

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3.各政党スタンス

各党も環境問題には対応することを謳っているが、どの程度優先しているかをマニフェストの具体的計画や説明の多さなどで判断した。

 

① 温暖化対策積極派(公明党、民主党)

民主党は地産地消、買い取り制度による風力・太陽光等の再生可能エネルギーの普及を促進する「グリーンエネルギー革命」を行うとマニフェストで掲げている。公明党は、省エネ・再エネを促進する「小規模分散型エネルギーシステム」の構築のため、120兆円規模の投資を目指している。

 

② 中道(共産党、みんなの党、社民党)

みんなの党は省エネなどの減税措置や地産地消、サマータイムの導入などを目指すとマニフェストに明記しており、共産党は再生可能エネルギーの普及や、環境税の使用用途として二酸化炭素の吸収源の投資にあてるとしている。社民党も同様である。

 

③ その他

自民党等他の党は意見を明確に示していない。

 

4.リンク集

・環境庁 地球温暖化の科学的知見 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge.html
・環境庁「温暖化から地球を守る」http://www.env.go.jp/earth/ondanka/pamph_tekiou/full.pdf
・気象庁 地球温暖化 http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/portal/chishiki_ondanka/
・ぼくらの地球【地球温暖化教室】 http://www.gwarming.com/
環境庁 地球温暖化の科学的知見 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge.html
環境庁「温暖化から地球を守る」http://www.env.go.jp/earth/ondanka/pamph_tekiou/full.pdf
気象庁 地球温暖化 http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/portal/chishiki_ondanka/
酒井啓亘、寺谷広司、西村弓、濱本正太(2011)『国際法』有斐閣
ぼくらの地球【地球温暖化教室】 http://www.gwarming.com/

[1]気象庁 地球温暖化 http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/portal/chishiki_ondanka/
[2]環境庁 地球温暖化の科学的知見 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge.html
[3] 環境庁「温暖化から地球を守る」http://www.env.go.jp/earth/ondanka/pamph_tekiou/full.pdf
[4] 酒井啓亘、寺谷広司、西村弓、濱本正太(2011)『国際法』有斐閣

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