日本は災害が起きやすい国だとされている。4枚のプレートの境目であることから地震が起こりやすく、活火山の分布数も世界に比べて高い。また、地理的・地形的条件から台風・豪雨なども起きやすい[1]。こうした状況をうけ、日本では災害対策基本法によって防災責任の明確化・災害予防・災害の応急対策・復旧に関する官民の連携などが規定されている。2001年から防災担当大臣も設置されている。
現状では、気象庁の関係機関が常に震災に関する情報を収集しており2分から5分の間で地震の位置や規模等が公表される。[2]また、25%の建物が耐震性に問題があることや、阪神淡路大震災においては約5000人が木造建築の崩壊により即死したことを受けて、2005年から住宅の耐震率を90%にあげる計画もなされている。さらに、「地震防災マップ」(全国のゆれやすさを可視化したもの)の普及を目指している。
津波に関しては行政法に基づき、河川を防災技術の水準に照らして予測することができた水害を防止することができる程度の安全性を確保することが義務付けられている。津波時に避難する建物の指定、危険物を河川から離して設置することなども併せて行われている。また、津波の被害を最小限にするためにより高い位置に住宅などを移動する高台移動等も検討されている。
なお、これに関連して福島第一原子力発電所の事故が地震により水素爆発をもたらしたことを受け、原子力発電所に関しては「バックフィット制度」の導入も検討されている。具体的にこの制度は、最新の技術的知見を技術基準に取り入れて、すでに運転をしている原子力発電所にもこの最新基準への適合を行政法上義務づけること[3]である。これにより、新しい科学的発見があれば、最新の耐震設計等の機器の導入やメンテナンス等が行われる見込みである。
現在、首都直下地震に対しては、東京圏内・圏外に代替拠点の設置など具体的なプランが練られている。[4]また、孤立してしまいそうな地域に関しては衛星携帯電話の補助金を出すとしている。[5]これは、東日本大震災において有用だったが非常に高額で地域住民がなかなか利用できなかった反省をうけて決定されたものだ。
現在の対策を中心に述べてきたが、今後これら以外に震災対策としてどのような対応策がありえるのだろうか。専門家の間では例えばリスク分散と国民共通番号の導入が災害対策の一環として議論されている。
リスク分散に関しては文字通り、日本は東京に主要な政府機関や企業が集中しているため、いくつかの地方に分散させるべきという考え方である。これは地方分権と併せて議論されることが多いが、中央政府が管轄したほうが情報が錯乱しないという主張や、分担させるコストがかかるという反論がなされている。
次に、国民共通番号制度とは、行政が全国民に番号を割り振り、それをもとに個人情報を管理する制度である。[6]今回の震災においても誰が支援を受けていないか、またその個人がどのような特性を持っているのか(高齢者・障がい者等)が分かりづらく一元的な管理ができなかったという問題があったため、効率的に支援を行うことが期待できる。しかし一方で、憲法上保障された個人情報の保護に反する可能性もあるため議論はまだ行われている。
ところで、経済学的な観点からは震災による被害を受けやすい土地(例えば、千葉や川崎の一部等液状化しやすい場所)に住んだ住民を「自己責任」とするのか政府としてそれらの選択を規制すべきかに関して議論がなされている。具体的には、それらの土地の購入の際モラルハザードが生じている可能性も指摘されている。地価やマンションの値段が当然低いため人は飛びつきやすいため一種の自己責任だという理論である。しかし、同時にそういった土地は家族の文化的な価値があったり、または貧困層としてみればそこしか選択肢がなかったという指摘もなされている。事実、東日本大震災においても一番被害を受けやすかったのは収入の少ない高齢者の住宅や比較的収入がない層が多かったという指摘がある。
どの政党も震災対策は謳っているが、「予防対策」「事後対策」どちらに重きをおいているかで差をつけた。
自民党は、多極分散の考えの下、人口・経済産業・政府機能を最大限国土全体に分散するとしている。また、三大都市の上下水道対策・駅浄化対策等を推し進める。民主党は、耐震住宅の割合を9割に引き上げることを目標にしつつ、地域のコミュニティに特化した防災力の強化を謳っている。公明党は、地域ベースの防災訓練などを提唱している。また、津波を防ぐため大規模堤防も実施するなど「防災・減災ニューディール」の制定を目指している。
みんなの党は地方に権限を与えた復興庁において、選任大臣を設置することを目指している。共産党は住民にスポットライトをあてた復興策を謳っている。
社民党はどちらからに重きをおいた説明をしていない。
日本維新の会と生活の党は特にマニフェストで明記していない。