太陽光発電・風力発電などいわゆる新エネルギーによる発電は、2010年時点で日本の総発電容量の約2%程度とされている[1]。その大半は廃棄物等を利用したバイオマス発電であり[2]、太陽光・風力といった発電設備は電力全体の0.5%程度でしかない。太陽光発電について日本は世界第三位の導入実績を持つが、それでも施設あたりの発電容量が極めて小さいため電力供給全体への寄与は少ない。
世界の総発電量に占める新エネルギーの割合は3.4%(2006年時点)だが、例えばデンマークでは発電量の25%が新エネルギー由来となっているなど、特にヨーロッパ諸国において新エネルギーの普及が進んでいる。これら新エネルギーの導入に積極的な国々はいずれも風力発電を主体としており、風力発電の積極的導入が新エネルギー割合の増加における一つの鍵とされている。先のデンマークにおいては洋上風力発電を主体とした大規模集積型の風力発電設備が主体となっており、日本でも少数ながら陸上で同様な設備(ウインドファーム)がすでに稼働している。
日本では2003年に電気事業者に対して新エネルギーの一定割合の導入を義務付けた法律が制定された[3]。この法律は電力市場に新エネルギー発電事業者が新規参入することを意図したものだったが制約が多く新規参入が困難だったため、2012年に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が新たに制定された。こちらは電力事業者が発電事業者から新エネルギーの電力を「一定期間」「一定価格で」買い取ることを義務づけた制度である。将来の投資回収リスクを抑えるこの政策は、初期導入コストが高い新エネルギー関連発電設備の導入に適していることから諸外国においても主流となっている。
固定価格買取制度のコストは電力利用者に転嫁されているため、電力ユーザーの立場からは下落することが望ましい。そのため買取価格は普及状況やランニングコストなどを勘案して毎年~によって見直されることになっている。日本の住宅用太陽光発電の場合2012年に42円/kWhだったものが2013年に38円/kWhに見直されたが[4]、世界的にはさらに安い価格で設定されており、「日本において適正な価格とはいくらか」という議論が生じている。
近年電力問題で新エネルギーが話題になっている。しばしば「再生可能エネルギー」という言葉も用いられるが、こちらは「消費する以上の供給が存在する」エネルギーのことを言い、エネルギー源として太陽光・地熱・月の公転などを用いるもの、つまり水力発電・太陽光発電・風力発電・地熱発電・潮汐発電などを言う。新エネルギーの場合は一般に水力発電を除いた他の発電方法の総称として用いられる。
これらのメリットとしては主に、1.エネルギーの大元が太陽や地球の地熱のため少なくとも10億年は枯渇の心配がない2.化石燃料を消費しないためランニングコストが安価 3.廃棄物やCO2の排出がなく環境負荷が小さいことなどである。一方デメリットとして1.初期導入コストが高く発電単価が高額になる 2.地域環境に依存するエネルギーであり偏在している 3.一発電施設あたりの電力供給量が小さい 4.発電する電気の質にムラがある(電圧)ことなどが挙げられる。また日本の電力供給制度という社会的要素により導入が困難という欠点も指摘されている[5]。
従来は環境負荷、特にCO2排出の面で優位性があることから各国で導入が進められていたが、近年の日本においては原子力発電に代わる日本の電力供給源として注目を浴びている。導入にあたっての最大の問題はその初期導入コストとそれにともなう電力あたり単価の高さである。そのため日本では以前より太陽光発電について導入補助金の設定や、電力会社に一定量の新エネルギー導入を義務付ける法律(RPS法)を制定することで導入を推進してきたが、現在は電力固定価格買取制度を中心とした導入推進策をとっている。
固定価格買取制度はドイツが太陽光発電について行った例が代表的とされる。この制度によりドイツでは全発電量に占める太陽光発電の割合が3.3%に上昇するなど普及に大きな役割を果たした。一方で購入料金確保のため電力料金は大幅に値上がりし、さらに太陽光発電の製造は海外メーカーが中心となり国内経済に寄与しなかったとされている[6]。また3.3%という数字を費用対効果の面でどう評価するかといった問題もある。
日本は現在新エネルギーに関し優遇措置をとり始め、導入の積極的推進へ舵を切りはじめた。とはいえ新エネルギーはメリットもデメリットもある発電方法であり、特に供給量や安定性の面で従来の火力発電・原子力発電の全てを直ちに代替するのは難しい。今後の導入についてはそれぞれのリスクを踏まえた上で、政治として何を選択するか、どのように政策を実施していくかが焦点となっている。
すべての党が新エネルギーの普及推進を公約としているが、その積極性については差が見られる。
社民党は「脱原発アクションプログラム」の中で「東北地方は2020年代までに再生可能エネルギー100%、2050年までに日本の全電力を再生可能エネルギーによる供給にする」としている。
民主党はエネルギープロジェクトチームにおいて「2020年代の早い時期に電力の20%を再生可能エネルギーとする」と提言しており、将来の新エネルギーの一定割合の導入に強い意欲を示している。公明党は政権公約において「2030年までに30%を再生可能エネルギーに」としている。
日本維新の会は橋本代表が「2030年が再生可能エネルギーの普及とエネルギー効率の改善で、電力供給体制の転換が見込める時期」と発言しており、推進の立場。みんなの党・共産党・生活の党は新エネルギーの導入に積極的な立場だが、具体的に数字やエネルギー供給割合について言及はしていない。
自民党は当座の原発停止に伴う電力供給不足を乗り切るためには再生可能エネルギーの導入が必要としている。一方で今後のエネルギー政策については「3年以内にベストミックスを確立する」としており、将来の再生可能エネルギーの本格的導入には言及していない[7]。