外国人とは、出入国管理及び難民認定法によると「日本の国籍を有しない者」である。
しかし、外国人といっても一枚岩ではなく生活実態において日本人に非常に近い「特別永住者」等もいる。各党のスタンスも外国人のスペクトラムに応じて意見が分かれているため、注意が必要である。
日本に帰化している外国人は既に国政レベル、地方レベル両方において選挙権(主に投票権)・被選挙権(主に政治家になる権利)を持っている。それとは異なる特別永住者(平和条約国籍離脱者およびその子孫で、主に在日韓国・朝鮮・台湾人のこと)一般永住者(一定の要件を満たして永住許可申請をし、許可され、日本国に永住している外国人のこと)には参政権が与えられていない。[i]
なお、原子力発電所や産業廃棄物等の決定に関する住民投票に関しては投票資格拡大の流れと共に認められつつある。現在では神奈川県川崎市、愛知県高浜市等で 外国人の住民投票権が認められている。
まず政治はその国に住んでいる全ての人に影響を及ぼすため、外国人もその例外ではないという考え方がある。地方行政に関して言えば介護サービスや医療サービスに関する決定等、国政に関しては雇用等外国人も大きく影響されるからだ。特に特別永住者は日本に何代にもわたって住み続けることが予想できるため、政策決定プロセスに参加できないのは不条理だとも言える。
また、外国人も日本に大きく貢献しているという議論もある。外国人も重要な職についており経済に貢献していたり、税金等も払っている以上その見返りとして参政権を認めるべきだという立場である。
次に、特に特別永住者等に関しては日本に永住する者は他の日本人とほとんど変わらず日本に対する愛国心や忠誠心があり将来の政策に関しても十二分に熟慮できることができるという意見もある。また、そもそも日本人も必ずしも忠誠心・愛国心があるとは言えず政府が恣意的に「国籍」という基準で判断すべきではないという主張もある。
まず憲法違反だという考えがある。憲法15条1項は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と定めており、「何人でも」という文言ではなく「国民固有の権利」としたことは、外国人に参政権を与える前提で立法されていないというものだ。
また、外国人の貢献に関しては、それによる対価は道路、医療、消防、警察等によって既に受けているという反論もある。
他には、「帰化」していれば日本に対する忠誠心は証明されるが、そうしておらず日本への忠誠を誓っていないことから国政を任すのは国益を害する可能性があるという意見もある。
まず、外国人の権利に関して確認したい。日本国憲法によると外国人が日本国憲法の保障する人権の享受主体になりうるとされているが、各権利ごとに個別的に判断することが求められており、外国人参政権についても同様であるというのが最高裁の立場だ。
では、外国人参政権とは何だろうか。参政権とは文字通り「政治に参加する権利」だが、これは主に選挙権と被選挙権に分かれる。選挙権とは、候補者の中から代表者を選ぶ資格のこと(投票権等)で、被選挙権とは自分が代表者になる資格(政治家になり政治的意見を反映すること)のことを指す。なお、厳密には公務員就職も参政権に含まれることもあるが、現在の段階では大きく議論にはなっていない。
では、外国人参政権に関して主に議論になっているのは何だろうか。主に争われてきたのは生活実態が日本人にかなり近い特別永住者の選挙権についてである。事実、2009年12月に自民党、民主党で意見が大きく対立した。[i]今回の選挙においてはどの党も外国人参政権に関してマニフェストで取り上げおらず、経済政策や、復興支援等他の争点を優先したと思われるが、今後また選挙後で議論が再び起こる可能性は多いにありうるだろう。
ところで、他国ではどうなっているのだろうか。オランダ、スウェーデン、デンマークをはじめとした24ヶ国が居住する外国人に地方投票権を認めている。また、超国家的枠組み(EU、コモンウェルス等)内での相互的に投票権を認めているのは16ヶ国存在する。アジアにおいては韓国や香港が一定の条件下において地方参政権を認めている。
全体的に今回の総選挙の争点になっていないため、過去の党の方針等を基に作成した。なお、例えば民主党内でも分裂が起こっているなど、各党の中で必ずしも意見が一致しているわけではない。今回は大きな分類として、賛成派・反対派に分けた。
民主党は、結党時から、外国人参政権の早期実現を掲げており、法案を国会に15回提出している。しかし、今回の選挙においてはマニフェスト等で大きく取り上げておらず、他の争点を優先したと思われる。
公明党も在日外国人に関しては、日本人のように貢献してきたため参政権を与えるべきだとしている。
生活の党に関しては前身未来の党の代表の嘉田由紀子氏は2010年に外国人参政権に関して寛容な発言をしている。共産党は外国人参政権に関して賛成しており、被選挙権も視野に入れている。社民党も外国人参政権も含めた「外国人住民基本法」を国会に提出。新党大地は外国人参政権を推進している。
自民党、日本維新の会、みんなの党は2013年3月の段階では、日本国籍を有する者のみに限定し、地方参政権も反対する立場である。
国民新党も外国人参政権や、また移民にも消極的である。
特に意見を表明していない。