2009年の政権交代により民主党が政権を握ったが、当初はアジア重視の姿勢を打ち出し、日米関係の冷え込みも懸念された。特に鳩山政権下では、普天間基地の移設問題をめぐり日米関係が冷え込み、オバマ政権に不信感を与えた。一方で野田政権下ではTPP参加に意欲を見せるなどアメリカと歩調を合わせる動きを見せた。安倍政権はさらに日米同盟重視の姿勢を打ち出し、関係深化を図っている。
昨今の東アジア情勢はめまぐるしく変化している。中国が日本の海域を脅かし、尖閣諸島領有を主張する為の実力行使を強めてきている。一方北朝鮮は金正恩が政権を引き継いでから不確実性が増している。東アジアの安全保障環境が不安定化する中、アメリカが提供している拡大抑止の重要性が増し、それをより強固なものにする日米協力の促進も重要性が増してきている。
また、安全保障と経済は密接に関連し、貿易の促進が安全保障上のリスクを低下させうる。TPPは、アジア太平洋地域の経済的安全保障を強めるという側面も持っている。
日米同盟は日本がアメリカに頼りきっているだけの関係という訳ではない。アメリカにとって日本は重要な同盟国であるだけでなく、東アジア戦略を展開する重要な拠点である。沖縄の米軍基地は日本だけでなく周辺地域の安全保障の鍵となる地政学的な要地であるなど、在日米軍基地は広くはアジア防衛の為の一大拠点となっている。
21世紀の日米関係は、二つに分けられる。2000年代前半では、米国のアフガニスタンでの作戦に日本はインド洋で給油を行い援助し、イラク戦争の支持をいち早く宣言し、国会での反対を押し切り自衛隊をイラクに派遣するなど協調的な関係を維持した。だが2000年代後半になると、日本が国連の日本の安保理の常任理事国入りをめぐって、日米間の利害調整が難航した。またこの頃福田内閣でねじれ国会が発生し、その為インド洋の給油活動の規模を縮小せざるを得なかった。そして特にここ最近、普天間基地の県外移設を求めたり、「思いやり予算」の大幅減額を画策したりした結果、アメリカと日本の親密な関係が2000年代前半などに比べると薄らいだとされる。[1]
しかし、関係の深化を進めるための条件は比較的整っている。オバマ政権は軍再編においてアジアを重視した軍の再配備を行っている。既に沖縄の海兵隊はイラク戦争前の10000人前後から18000人前後に増強されており[2]、今後追加の軍艦が派遣されるなどアジアへの軍備投入が見受けられる。これは中国の軍備増強の他に、東南アジア諸国の経済発展などによりアジアが地域として活発化し、その地域情勢にアメリカのプレゼンスを加えたいからである[3]。この波を上手く利用すれば、日米関係の緊密さが再び強まっていくことも想定される。
しかし、アメリカとの同盟を強化していく過程で、日本は厳しい選択を迫られる事もある。最近では、アメリカはイランが核兵器開発を行っている為、その資金源である石油の大幅な輸入制限を呼びかけた。日本は脱原発路線を続けエネルギー供給が厳しくなるなか、この制裁措置に同意した。この結果日本は輸入量を40%減らし、これはインドの1.7%、中国の21%などと比べても多い[4]。元々イランに石油の9%近く[5]の輸入を頼っていた日本にとっては、辛い選択であった。 関係の深まりを志向しつつもしっかりと自らの国益を追求し、対米追従にはならないことの重要性も考える必要がある。
アメリカの軍備再編によって、日米関係は以前の友好的な関係に戻る兆しを見せている。この関係の中で、どこまでアメリカと歩調を同じにしていくのかが、今後日本の課題である。
基本的にどの党も「日米同盟を基軸に」今後の安全保障政策を考えていくとしている。生活の党、公明党は「対等な日米関係」を目指すとしており、この内公明党は日米地位協定の見直しなどを訴えている。
日米同盟を破棄とは言わないまでも、沖縄県民が請け負っている負担があまりにも重過ぎる為、既存のフレームワークの変更を訴えている。
日米同盟を破棄し、米軍の全軍撤退を求めている。